親御さんに向けて3つの
アドバイス
~筋無力症患者会 理事長より
親御さんに向けて3つの
アドバイス
~筋無力症患者会 理事長より
MGの小児患者さんをもつ親御さんに向けて、恒川礼子さん(NPO法人 筋無力症患者会 理事長)よりアドバイスをいただきました。
お子さんの瞼が下がっていても、言わないで
朝起きて、お子さんの瞼が下がっていると、「ああ、今日も開かないね」とつい口に出していませんか? お子さんは、目をつぶりたくてつぶっているわけではないし、お母さんを困らせたいわけでもありません。それなのに、お母さんの何気ない「今日も開かない」という言葉を聞いたら、お子さんはとても傷つきます。小児でMGを発症し、今は成人になったある患者さんが、自分のことで夫婦喧嘩していたり、お母さんが泣いていたりするのを見て、大好きな両親が自分のせいで苦しんでいるのだと、とてもつらかったと話していました。保護者には、お子さんの瞼が下がっていても、必要以上に口には出さないようにとアドバイスしています。それがうまくできているご家庭では、お子さんのほうから「おはよう。ママ、今日は残念なお知らせ」「何?」「今日は目が開かな~い」と明るく言ってくることもあるそうです。
また片づけを例にとっても、だらけて片づけないのと、体が動けなくて片づけられないのとは違うので、頭ごなしに「片づけなさい」と怒るのではなく、ちゃんと見定めてから行動することが大切だと思います。
“どうして?”と考えるのはやめて、病気のせいにしない育て方を
成人、小児を問わず、病気に逃げてほしくないと私は思っています。もし「あなたは病気だから仕方がないのよ」と育ててしまうと、大人になってからも、何かに失敗した時に病気のせいにするようになってしまいます。病気のせいにしない育て方ができるとよいですね。
また、お母さんのなかには「どうして、丈夫な体に産んであげられなかったのだろう」と自分を責めてしまう方もいらっしゃいますが、考えたところで答えは出ませんし、お子さんのためにもよくないと思うので、“どうして?”と考えるのはやめて先に進んだほうがよいかなと思います。
自己管理ができる子どもに
小児期発症MGは、寛解することも多いですが、患者さんによってはそれを維持するのがむずかしい疾患だと思います。たとえばお子さんが「将来はプロ野球選手になりたい」と言っても、実現させるのは簡単なことではありません。時には、運動は趣味のレベルにとどめ、デスクワークでできる職業や、自然など運動以外の何かに興味をもつよう、工夫することも大切だと思います。MGのお子さんは動き過ぎてコントロールできなくなることも多く、「ここまで」と自己管理できるように育てることもポイントの1つです。