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監修: 脳神経内科 千葉 川口直樹 先生
  1. MG Source
  2. 重症筋無力症の治療について
  3. ステロイド治療

ステロイド治療

ステロイド薬とは

ステロイド薬は、副腎皮質で作られるホルモン(副腎皮質ホルモン)のうち、糖質コルチコイドという成分を人工的に作った薬です。

免疫による炎症をしずめることから、アトピー性皮膚炎や気管支喘息など様々な病気に使用され、免疫を抑える作用もあるので重症筋無力症や膠原病などの自己免疫疾患に対しても広く使用されます。

腎臓の上にのっている小さな臓器が副腎です。
副腎は皮質(副腎皮質)と髄質(副腎髄質)で構成されています。

経口ステロイド薬(飲み薬)

重症筋無力症の患者さんには免疫システムを抑える薬が有効です。現在、治療の柱となっているのが、「経口ステロイド薬」、つまりステロイドの飲み薬の服用です。免疫システムの異常を抑え、神経から筋肉への伝達をスムーズにします。

最もよく使われる経口ステロイドが、プレドニゾロンです。早期から免疫抑制薬などと組み合わせる方法も用いられています。

経口ステロイドは治療の柱となりますが、糖尿病の誘発・増悪、骨粗しょう症、消化性潰瘍、白内障、ステロイド精神病、不眠、体重増加、顔が丸くむくむ(ムーンフェイス)、多毛、食欲亢進、月経異常などの副作用が起こることがあります。治療は、少ない用量からスタートし、副作用の症状が出ているかどうか、こまめに確認しながら行います。この飲み薬は急な減量・中止により症状が悪化することがあります。自己判断で減量・中止してはいけません。また、治療期間中、生ワクチン(風疹、水痘、おたふくかぜなど)の接種は受けられません。気になることがありましたら、すぐに担当医に相談しましょう。

ステロイドパルス療法

ステロイドを短期間に多量投与する強力な治療法です。治療は点滴にて行われます。後述する免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)や血液浄化療法と並び、短期に症状を改善する選択肢の一つで、経口ステロイドを減らせることも期待されます。

参考文献

  • 重症筋無力症診療ガイドライン」作成委員会編.重症筋無力症診療ガイドライン.東京:南江堂;