どうして重症筋無力症になるの?
免疫の異常により発症する自己免疫疾患
重症筋無力症は、神経と筋肉のつなぎ目でおこる異常が原因の病気です。免疫は本来、細菌やウイルスなどの病原体から身体を守るものですが、重症筋無力症では、自分の細胞を攻撃したり、邪魔したりしてしまう免疫の異常がおきてしまっています。こうした病気を自己免疫疾患と言います。
「自己抗体」が筋肉を動かす信号を邪魔することが原因
免疫システムの1つには「抗体」と呼ばれるタンパク質があり、病原体に対し攻撃を行うことで身体を守っていますが、何らかの異常で自分の細胞を攻撃してしまうことがあり、これを「自己抗体」と言います。そしてこの自己抗体が重症筋無力症の発症に深く関与しています。
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脳からの信号が神経をとおり筋肉に伝わることにより、体を動かすことができます。
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その際に、神経と筋肉のつなぎ目では、神経からの信号を筋肉が受け取ることで収縮します。
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ところが、重症筋無力症では、神経と筋肉のつなぎ目に異常がおきています。自己抗体が特定の補体とくっつくと補体系を活性化させ、神経と筋肉のつなぎ目の構造を破壊したり、アセチルコリン(ACh)などの信号を邪魔してしまいます。
- ACh(アセチルコリン)
脳からの命令を筋肉へ伝える物質
- AChR(アセチルコリン受容体)
筋肉側でアセチルコリンを受け取る
- 補体
身体を守る免疫システムの1つ
- 抗AChR抗体(抗アセチルコリン受容体抗体)
アセチルコリン受容体にくっつく自己抗体
- AChR 以外にも筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)に対する「自己抗体」が関与することがあります。
- AChR 以外にも筋特異的受容体型チロシンキナーゼ(MuSK)に対する「自己抗体」が関与することがあります。
参考文献
- 日本神経学会監修 重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン