胸腺摘除術
胸腺摘除術
胸腺は胸骨の裏側、心臓の前側にあり、幼少期には免疫を担う大切な役割を果たします。胸腺は成人するまでには脂肪に置き換わっていきますが、ここに「胸腺腫」と呼ばれる腫瘍ができることがあります。胸腺腫は重症筋無力症を引き起こす原因の1つと考えられており、患者さんの約2割にあらわれます。胸腺腫を摘除することで症状が改善することがあります。また、胸腺摘除により症状改善が見込まれる場合にも施行されます。
胸腺腫のない全身型重症筋無力症の場合も特に抗アセチルコリン受容体抗体陽性の比較的若い方では、有効性を期待できるとされています。それ以外の場合でも可能性がないわけではありませんので、担当医と相談してみてください。
小児
以前には思春期以降で胸腺摘除がさかんに実施された時期もありますが、様々な治療の進歩の結果、胸腺を摘除しなくても治療できることが増えました。詳しくは、担当医に相談してみてください。
- 胸腺の位置
- 子どもの時は大きいが、大人になるにつれて小さくなっていきます。
- 拡大胸腺摘除術
手術によって胸骨を縦に切り開き、その下にある胸腺をまわりの脂肪といっしょに取る方法です。
- 内視鏡下胸腺摘除術
内視鏡(胸腔鏡)を使用し、胸骨を切らずに胸腺を摘除する方法です。
どちらの手術も一長一短があります。また、手術後に一時的に重症筋無力症の症状が悪くなる可能性もあります。詳しくは担当医と相談してください。
参考文献
- 日本神経学会監修 重症筋無力症/ランバート・イートン筋無力症候群診療ガイドライン