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監修: 脳神経内科 千葉 川口 直樹 先生
市立宇和島病院 小児科 林 正俊 先生
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診断されて間もない

小児患者さんをもつ

親御さんに伝えたいこと

「わかってもらえないことが当たり前」と気持ちを切り替える

さわさん私は周りに「察してほしい」と思うのは、やめるようにしています。わからないことを前提として、「なぜわからないの?」とは思わないようにしています。きちんと伝えれば周りの人もわかってくれますし、敵視せず、こちらが歩み寄る姿勢をもって接していると受け入れてもらえると思います。

はまねこさん私も「わかってもらえないことが当たり前だ」と考えると気持ちが楽になります。自分に置き換えてみても、苦しんでいる人が何に困って、どうサポートしてほしいかはわからないですよね。ただ、お互いにわかり合えるまであきらめないことが大切だと思っています。

さわさん病気がわかった途端に世間と壁ができて、「自分だけ取り残されてしまった」という気持ちになる親御さんが多いと思います。私も当初は「周りからどういう目で見られているんだろう?」と、周りに敵が増えたように感じたことがあったのですが、話せば理解してもらえますし、そのように考えるのはやめました。

子どもの病気がきっかけで全く違う景色が見えてくる

子どもの病気がきっかけで全く違う景色が見えてくる

はまねこさん私の場合、娘の病気がわかった時に心の中にこれまで知らなかったドアがバンと開いて、知らない世界が広がったような感覚でした。娘の病気を通して、世の中には目や耳の不自由な方など、いろいろな方がいて、自分は世の中に対する理解度が足りていないことに気づかされました。人を傷つけてはいけないという気持ちが、娘が病気になる前と比べて強くなりました。人生観が全く変わりましたね。

えいこさん私も同じです。道を歩いていても、「困っている人はいないかな?」と気にかけるようになりましたね。車椅子の方がいたら、「何かお手伝いしましょうか?」と。

さわさん息子が病気になる前は声がかけられなかったような方に対しても、気持ちより先に体が動くようになりました。

はまねこさん娘が病気になったことで、自分を一段階上に上げてもらったような感覚ですね。決して悪いことばかりではないと思います。診断直後は「どうしてうちの子だけが?」「私のせいなのかしら?」と思うこともありますよね。でも、その先は奈落ではなく、全く違う景色が見えてくるはずです。娘も、病気になったことで、周りと違う行動をとる子がいても「あの子は何か困っているんじゃないかな?」「何か理由があって、あんな行動をとっているんじゃないかな?」という考え方ができるようになりました。

さわさん病気の子どもだけでなく、おそらくその子に関わった兄弟姉妹や周りのお友達も、想像力が自然に身についてくるのではないかと思います。実際、外で息子に何かあると、お友達や近所の子が私に知らせてくれるようになり、悪いことばかりじゃないかなと思っています。

えいこさん娘は遠足に参加しても途中で動けなくなってしまうので、お友達が交代でおぶって山を下りてくれました。後日、その子たちのお母さんにお礼を伝えると、「そういう子に育ってくれてよかった」と喜ばれていましたね。

はまねこさんお互いに学びですよね。そうやっておぶってくれた子が働くようになって、たとえば仕事がうまく回っていない同僚がいた場合に、「何か困っているんじゃないかな?」と考えられると思うんです。あの人は仕事ができない、と決めつけずに、そこでワンクッションを置けるかどうかで、人生は全く違ってくると思います。病気になったことは変えられないとしても、未来は変えられます。ちょっと軸足をずらしてみると、パッと広がるものがある。経験上、それが一番大きいことだったと思います。

親同士の交流は安心感につながる

はまねこさんMGには患者会があり、子ども同士の活動やお母さん同士の交流会などに参加させてもらっていますが、子どもにとって、学校の教室以外に居場所があることはすごくよいことだと思っています。

さわさんそうですね。そういう環境があったからこそ、うちも前向きでいられたと思います。

はまねこさん患者会というと、悲しいことを話し会ったり、慰め合ったりする会と思われがちですが、そうではなく、前向きに「うちはこうしたよ」「うちもそういうことがあったよ」と、情報交換できる場であり、そういった情報は親にとってとても心強いですよね。学校や日常生活に関する情報は患者会じゃないとなかなか得られないので、私も結構助けてもらいました。

さわさん同じ病気の子どもをもつ親同士ですので、わかり合えるという安心感もありますしね。

えいこさんうちの場合は、患者会がなかったら、おそらく病名も確定しなかったと思います。診断された人にとっても、まだ診断がつかない人にとっても患者会は心強い存在です。

親同士の交流は安心感につながる
次のパートでは、はまねこさんの娘さん(あずもちさん)とさわさんの息子さん(はる君)の声をまとめました。