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監修: 脳神経内科 千葉 川口直樹 先生
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  2. 重症筋無力症の治療について
  3. 補体阻害薬(点滴)

補体阻害薬(点滴)

補体阻害薬(点滴)

補体阻害薬は、2017年から全身型の重症筋無力症への使用が可能になりました。抗アセチルコリン受容体抗体陽性の全身型の重症筋無力症の患者さんに有効な治療法で、免疫グロブリン大量静注療法(IVIg)や血液浄化療法を含む複数の治療でも効果が見られなかったり、副作用などから治療を続けられなかった方などに、使用することができます。現在、このような深刻な症状に苦しむ方が重症筋無力症患者さん全体の5~10%にのぼるとされております。

からだがもともと持っている免疫システムの1つに「補体系」があります。抗アセチルコリン受容体抗体陽性重症筋無力症患者さんでは、抗アセチルコリン受容体抗体が、ある特定の補体とくっついて補体系を活性化させ、神経と筋肉のつなぎ目を壊してしまいます。
補体阻害薬は、活性化している補体の一部に結合して、その活動を止めることで、症状を改善します。

補体阻害薬使用中は髄膜炎菌など特定の種類の細菌に感染しやすくなる可能性があるため、治療を開始する前にワクチンの接種が必要です。

参考文献

  • Conti-Fine BM, et al. J Clin Invest. ;116(11):2843-2854.
  • Kusner LL, Kaminski HJ. Ann N Y Acad Sci. ;1274:127-132.
  • Sahashi K, et al. J Neuropathol Exp Neurol. :39(2):160-172.