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監修: 脳神経内科 千葉 川口 直樹 先生
市立宇和島病院 小児科 林 正俊 先生
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  2. 患者さんストーリー
  3. 小児MG親子座談会 親も子どももプラス思考で
  4. 学校や保育園・幼稚園での生活について

学校や保育園・幼稚園

での生活について

周りの方に理解してもらえば解決できることもある

さわさん幼稚園に入る前に寛解となり、そこから一度も再発なく今日まで過ごしてきました。それでも、足が疲れやすいので、鬼ごっこでは悔しい思いをすることが多く、外では遊びたくないと臍を曲げてしまうこともありました。活発なのに体がついてこないという状態はつらいですよね。目の症状に関しては、眼球上転の反応が悪い状態が固定して残ってしまっているため、たまに物が二重に見えることがあるようですが、自分でずれを戻してコントロールしているみたいで、さほど困ることはないようです。

はまねこさんうちは女の子なので、容姿を気にすることがありました。眼球の動きが悪いと人相が変わってしまうので、ジロジロ見られたり、「あの子、目が開いてないよ」と言われたり、指をさされたりすることがありました。幼稚園に行くのは嫌じゃないけど、お友達からジロジロ見られるのが嫌だとすごく泣きましたね。

さわさん親もつらいですよね。子どもは何でも思ったことを口に出すので、発症して間もないころは、公園で遊んでいると「ママ、あの子、顔が変だよ」と、よく言われました。本人はまだ2歳だったので覚えていませんが、「そうか、この子はこれからこういうことを抱えて生きていかなくてはいけないんだ」と、私自身がすごくショックでした。幼稚園や小学校に通うようになってからは、親御さんに私から説明することができるようになったので、さほど悩むことはなくなりました。

はまねこさん幼稚園の友達にからかわれた時に、本人に「どうしたい?」と聞いたら、「みんなにわかってほしい」と言うので、私はプリントをつくって、保護者の皆さんに配りました。プリントには「MGという病気なので、目にこういう症状が出る時がありますが、それを言われると本人はすごく悲しいのでからかわないでください」と記載し、まずは親御さんに理解を求め、お子さんにも説明してもらうようにお願いしました。幼稚園の先生たちにも周知していただき、その後は先生たちが一丸となって見守ってくれました。自分は病気だから、からかわれても仕方がないとあきらめるのは簡単ですが、理解してもらえれば解決できる、という道筋をつくってあげないといけないと思ったのです。

さわさん言葉にして伝えることはとても大切だと思います。息子にも、「もし何か言われた時には、自分のことをちゃんと説明できるようにしようね」と教えてきているので、今のところは、何かあると自分で説明して解決しているようです。

はまねこさん「気にしなければいいよ」と言うのは簡単ですが、「悲しいからやめてほしい」ときちんと周囲に伝えることは大切なんだと教えたいですよね。「嫌だな」という気持ちに蓋をすること、悲しい気持ちに鈍感になることは、この先の人生によいことではないと思っています。

周りの方に理解してもらえば解決できることもある

学校側と歩み寄り、1つずつ解決していく

学校側と歩み寄り、1つずつ解決していく

さわさんえいこさんの娘さんは、どのような学校生活を送られてきましたか?

えいこさんうちは、私がおぶって小学校に通っていました。20メートルほどしか歩けない時も、登校したいという思いが強く、いっしょにタクシーで小学校に行き、3階にある教室までおんぶして、1時間だけ座って授業を受けて帰ることもありました。中学校に入ってからも「友達に会いたいから学校に行きたい」という気持ちが強く、調子が悪くても、タクシーを使って学校に通っていました。高校に入ってからは、通いやすいように高校の近くに家族で引っ越しました。今は大学生なのですが、大学に近い場所でひとり暮らしをしています。毎日の通学は体力を消耗させてしまうので、できるだけ負担が少なくなるようにしています。

はまねこさんえいこさんの娘さんの「学校に行きたい」という気持ちはすごいと思います。えいこさんも、娘さんの希望をかなえるために、二人三脚でがんばってこられたのですね。

えいこさん子どものころは、お友達に娘のことをわかってもらいたくて、毎日のように遊びに来てもらっていました。先生にも理解していただきたくて、よく学校にも出向きました。MGの症状についてわからなくても当たり前なのですが、技術の授業で、電気のこぎりが持ち上げられず、作業ができなかった時に先生にすごく怒られたことがありました。自分でもそんなにできないとは思っていなかったので、それがすごくショックだったようで、その時は先生に説明できずに帰ってきました。翌日、先生に話したら、「これからは、怪我をしないように気をつけて見守るようにします」と言ってくださったんです。困ったことがあっても、伝えればわかってもらえるので、そうやって1つずつ解決していくことが大切だと思います。

はまねこさん何か言われても腹を立てずに、「わからなくて当たり前なんだ」と考え方を切り替え、「じゃあ、どうやって説明したら伝わるかな?」といっしょに考えてあげることが親の役目ですよね。

えいこさんうちは学校行事に参加するのも一苦労でした。娘の「参加したい」という希望を先生方にわかってもらうために、校長先生に直談判したこともあります。小学校の修学旅行では、何かあった時のために私が同行することで参加を許可していただきました。万一、具合が悪くなったらすぐに駆けつけられるように近くに宿をとり、神経内科のある近隣の病院を調べておくなど、万全の態勢を整えて臨みました。

はまねこさん学校側が慎重になることは当然なのですが、0か100ではなくて、お互いに歩み寄り、いかに折衷案を出せるかがポイントですよね。「〇〇という心配があると思いますが、その時は私が〇〇しますので」というように。

えいこさん実は、影武者になって修学旅行に同行した時は結構楽しかったですよ。娘の楽しそうな様子も見られましたし。